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VTR方式(98)

昭和50年当初、放送局は、開局から15年も経っているのに、アメリカアンペックス社のVTRで独占されていた。
それを何とか国産品、なおかつ、タイムコードを使った電子編集を試みる。
実現出来れば、従来の常識や発想転換にとどまらず、革命的な流れの変化を促します。
国産VTRの必要性を1番感じていたのは、放送局のライブラリ部門で、フイルム素材が、倉庫に溢れていたのだ。
当然、国内メーカーも、アメリカに対抗すべく、2インチではなく、1インチ幅のVTRを開発していた。
そして、アルファ(α)方式なるものが、8割がた、採用される方向で事が進んでいた。
ひかるは、その方式を見た瞬間、これだけは絶対駄目だ、と直感した。
左右のリールの間に、缶ビール大のヘットがあるが、そのヘットを、ちょうどアルファの字のごとく、1回転、左右のリールに、段差、奥幅を付けて、斜めに交錯スレーディングさせるという方式である。
まずは将来的に、スレーディングをオートメーション化するのに非常に難しい。
考え方としては女子社員や場合によっては、アルバイト、パートでも、ライブラリ作業が出来るような簡単な方式、カセット化出来る事を考えておく必要があるのだ。
更に重要なのは、収録時の使い方である。
ドラマなどの場合、ロールの都合上、テープの途中で、そっくり乗せ替える事が頻繁にある。この方式だと、そう簡単に、乗せ替えが出来ないのだ。
そこでひかるは、違うオメガ(ω)方式に注目した。テープ面は100%ヘットに接していないが、字の如く、交錯していないのである。
しかし、アルファ方式が既に2時間テープが架けられる所まで、開発が進んでいるのに、このオメガ方式はまだ30分テープしか使えない。かなり遅れをとっていたのだ。
業界全体として、8割がたアルファ方式へ傾いているのを、オメガ方式へ逆転させる必要があるのだ。
これからが、ひかるの真骨頂、腕の見せ所である。

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